優性思想とみなされる障がい者差別はいまだに残っている!!
2021年5月26日に大阪地裁で開かれた「2018年2月1日の府立生野聴覚支援学校生徒事故」の第7回目の民事裁判に傍聴参加しました。
法廷には手話通訳者2名が配置されており、原告側の母親の主張、弁護士の一人で聴覚障がい者の弁護士の意見陳述などの光景には、信じられないくらいに強い衝撃を受けました。
頭に強く残ったのは「聴覚障がい者は、①思考力、②言語力、③学力を獲得することが難しく、就職することが難しい」との言葉です。
これはまさに聞こえる人と同等の人間に扱われていない、同様にすべての身体障がい者もひとりの人間としての権利がないのかと、怒りを覚えました。
事故にあった生徒は11歳、でも11歳だからではありません。生まれた時からの言語の獲得は並大抵の努力ではできません。言語の獲得にはかなりの労力と時間を要しますが、手話をメインに身振り、筆談、聴覚などを補足して豊かなコミュニケーションを図ることができていました。
このような現実を見据えることもなく、今回の裁判において露見した、障がい者はひとりの人間として扱われないという優性思想とみられる被告側の主張に対して、2021年6月12日 第9回(通算第72回)全日本ろうあ連盟評議員会で「優生思想を根絶する運動を強化する」特別決議が採決されました。そして、公益社団法人大阪聴力障害者協会が中心となり公正な判決を求める要請署名運動を開始し、その後全国各地や外国の方への協力として広がりました。
そして、2021年7月7日(水)午後2時、公益社団法人大阪聴力障害者協会は、井出安優香(いであゆか)さんのご両親とともに、大阪地方裁判所 第15民事部へ提出しました。全国の皆様から集まった署名は、5月26日~7月6日までの期間中、総計101,685筆に達しました。
大阪市聴言障害者協会としては、市身協傘下の皆さまに、このことを知っていただきたく機関紙に掲載させていただきました。
特別決議文と事故に関する内容、7月14日の公判の結果報告などは公益社団法人大阪聴力障害者協会のホームページをご覧ください。
様々な障がいをお持ちの方へ、未来へ続く生徒や若い人たちの道標を明るく照らし、団結して応援していきましょう。
大阪市聴言障害者協会 会長 廣田 しづえ(ひろた しづえ)
※写真:「日本聴力障害者新聞2021年4月1日号(第856号)発行」
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